







日本 / 2026 / 84分
監督:佐々木想(SASAKI Omoi)
配給:Omoi Sasaki
ヨシコ(影山祐子)は老いた父(流山児祥)と2人で暮らしている。主演するインディーズ映画で地方選挙に出馬する風変わりな夫(平沼誠士)の妻の役を演じることになり、撮影現場と日常を行き来する中で、映画と日常の境界が次第に曖昧になっていく。
今ここにある現実と地続きのディストピア社会を描き、一部で大きな反響を呼んだ『鈴木さん』(2022)。それに続く佐々木想監督の長編第3作がこの映画だ。社会風刺、政治、そしてコメディという多面的な要素を備えている点は前作と同様だが、それらをストレートに前に押し出した前作とは違い、本作は劇中でさらに別の映画が展開する「入れ子構造」を採用した。それぞれの要素はより断片化され、象徴的に扱われているのが特徴だ。最も強く前面に出ているのはデッドパン・コメディの要素。俳優陣の抑えた演技、それを引き出す演出力、そして見事な撮影と編集によって生み出されたもので、佐々木監督の確かな手腕を物語っている。『22世紀の猫』というタイトルが、民主主義に関する実在の書籍を指しているのか、あるいは架空の猫型ロボットを指しているのかは定かではないが、いずれにせよ、これが今ここにある現実を直視するためのタイトルであることに違いはないだろう。

監督:佐々木想(SASAKI Omoi)
1978年山口県旧豊浦郡出身。演劇を流山児祥に師事。2004年より映画製作を開始。出会いそこなった人々、社会から破れ去った人々をユーモアと哀歓を込めて描く。 短編映画『隕石とインポテンツ』(2013)がカンヌ国際映画祭短編コンペ部門に選出され初の劇場公開。宇宙人の少年が飛来する短編映画『サトウくん』(2017)、現人神の苦悩に迫る長編映画『鈴木さん』(2022)、国家に翻弄される移民家族を描いた長編小説『朴さんと吉田さん』(2024)からなる「名前シリーズ」で個人と集団の関係を描いた。本作は新シリーズ「猫の威を借るシリーズ」第1作。