上映作品 - コンペティション

The World Before(英題)

韓国 / 2026 / 115分
監督:ユン・ダンビ(YOON Dan-bi)

韓国南部の小さな島。ここで生まれ育った17歳の少女ジンは、近頃なんだか落ち着かない。幼なじみの少年ドゥジェが祖母の葬儀で久々に戻ってきたのだ。空き家になった祖母宅にひとり残った彼を口実を作っては訪ねるうちに、ジンは嫉妬心や独占欲、さらにもっと根源的な衝動が自分の中から湧き上がるのに気づく。

デビュー作『夏時間』の繊細な人物描写で注目を浴びたユン・ダンビ監督が7年ぶりに発表した第2作。静かな漁村に生まれ育った少女のひと夏の成長を、島での生活を通して丁寧に積み重ねて描く。青春映画の王道を行く初恋物語だが、ドラマは恋の行方より、それを知った少女の変化に深く焦点を合わせる。見慣れたはずの風景や人々の顔が次第に違う意味を持ち、汗ばむ肌の内側から衝動的な何かが沸き上がる。幼い欲望を子細に見つめながらも、男性目線の煽情性と一線を画し、少女を「見られる客体」ではなく「欲望する主体」としてとらえる演出が出色。オーディションで選ばれたシム・スビンの存在感にも引き込まれる。トロント国際映画祭プラットフォーム部門でワールドプレミアし、釜山国際映画祭パノラマ部門でも上映。サンセバスチャン国際映画祭ニュー・ディレクターズ部門でSpecial mention、またAsia Pacific Screen Awardsでは、最優秀新人俳優賞(主演シム・スビン受賞)と国内外で高い評価を得ている。

監督:ユン・ダンビ(YOON Dan-bi)

1990年光州生まれ。韓国の映画監督であり、脚本家である。長編デビュー作『夏時間』(2019)は、祖父の家に国民大学で美術学士を取得。短編『Fireworks』(2015)が大邱独立短編映画祭や韓国青少年映画祭で上映され注目される。2017年に檀国大学大学院に進み映画製作を専攻。大学院のプロジェクトとして製作した長編『夏時間』(2019)で監督デビュー。祖父の家に引っ越した姉弟のひと夏を繊細に描き、釜山国際映画祭でNETPAC賞(最優秀アジア映画賞)など4冠を獲得、2020年のロッテルダム国際映画祭のBright Future賞も獲得した。長編第2作の『The World Before』(2026)を通して作品活動を続けている。彼女の作品は、日常の関係性の中で静かに起こる繊細な変化の瞬間を繊細に捉えている。