上映作品 - コンペティション

阿Girl / Ah Girl

シンガポール / 2026 / 99分
監督:アン・ゲックゲック・プリシラ 洪玉桔(ANG Geck Geck Priscilla)

1994年、シンガポール。家族から「阿Girl」と呼ばれる7歳の少女は、別居した両親の間を行き来しながら5歳の妹と暮らす。無口だが女性関係が派手な父、口うるさい祖母、頼りない母。大人の事情を横目に、ご禁制のガムの密売で小遣いを稼ぎ、妄想全開で初恋に心をときめかせるが、親たちの身勝手な選択が、少女の世界を大きく揺さぶる。

シンガポールの女性監督が度重なる資金難を乗り越え10年かけて完成させた長編第1作。両親の離婚で祖父母に預けられ苦学して育った自身の体験を下敷きに、普通とはちょっと違う環境に置かれた7歳の少女の成長を描く。なぜか自信満々でにぎやかな阿Girlと仲間たちの日常は、実写版ちびまる子ちゃんの趣。子どもの目の高さでとらえた大人たちはどこか遠く曖昧な存在で、その都合に振り回される少女の葛藤がじわりと胸に迫って来る。主人公・阿Girlを好演したオン・シュエンジン(王宣静)は、1年がかりのキャスティングで発掘。本作で香港映画祭で史上最年少の最優秀女優賞を受賞した。祖母の複雑な対日感情など、随所にちりばめられた「日本」にまつわる要素も興味深い。ロッテルダム映画祭Bright Future部門でワールドプレミアされユース審査員賞を受賞。金馬奨では新人監督賞、脚色賞、新人俳優賞の3部門にノミネートされた。

監督:アン・ゲックゲック・プリシラ 洪玉桔(ANG Geck Geck Priscilla)

シンガポール出身。生活費や学費を稼ぐため10代からアルバイトを掛け持ちし、南洋理工大学を卒業。共感をテーマに短編やCM演出を手がける。児童虐待を扱った初短編「Broken Crayon」 (2013)でシンガポール短編映画祭最優秀短編賞。同作を起点に、幼少期の記憶を掘り下げる短編三部作を発表。10年越しで実現させた初長編『阿Girl』は2026年ロッテルダム映画祭でワールドプレミア、ユース審査員賞を受賞。授乳のタブー視に挑む写真プロジェクトなどの社会的活動にも取り組む。