上映作品 - コンペティション

女の子
/ Girl

11月23日(日)15:20 -朝日

ゲスト

スー・チー(監督)

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11月27日(木)18:35 -HTC

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台湾 / 2025 / 125分 /
監督:スー・チー(SHU Qi)

内向的な少女シャオリーが、自由奔放な同級生リリーとの出会いを通じて、抑圧された生活から抜け出し、自分自身の人生を模索し始める姿を描く。シャオリーは、母から受け継がれた悲しみと、自由への強い願いとの間で葛藤しながら成長していく。

俳優として国際的に知られるスー・チー(舒淇)が、長編映画監督としての第一歩を踏み出したデビュー作『女の子(女孩)』は、1980年代末の台湾・基隆を舞台に、家庭内の葛藤と成長の痛みを抱える少女シャオリーの日常を描く。物語の中心にあるのは、家庭内で愛情を求めながらも、母との複雑な関係や父の暴力に揺れる少女の姿だ。彼女は出会ってすぐに親友になったリリーとの交遊や小さな冒険を通じて、閉ざされた世界に微かな光を見出していく。スー・チー自身の幼少期の記憶を下敷きにした半自伝的な作品だという本作は、劇的な展開というよりは、記憶の綾と心の微細な動きに寄り添うような作品として成立している。カメラの微妙な動きや余白を残したフレーミングには、ホウ・シャオシェン(侯孝賢)をはじめとする台湾ニューシネマの影響が色濃く感じられるが、映画という表現の力に対する深い理解に裏打ちされているのは一目瞭然だ。本作はベネチア映画祭コンペティションでワールドプレミアされ、翌月の釜山映画祭で最優秀監督賞を受賞した。

監督:スー・チー(SHU Qi)

舒淇。1976年台湾生まれ。『夢翔る人/色情男女』(1996)で女優として脚光を浴び、アート系映画からハリウッド大作まで幅広く出演。香港電影金像奨を3度、金馬奨を2度受賞。ベルリン、カンヌ、ヴェネツィアの三大映画祭の審査員も務める。ホウ・シャオシェン監督とは『ミレニアム・マンボ』(2001)、『百年恋歌』(2005)、『黒衣の刺客』(2015)でタッグを組んだ。ビー・ガン監督の『Resurrection』(2025)にも主演している。

監督ステートメント

2013年の夏のことを今でも鮮明に覚えています。『黒衣の刺客』の撮影現場で照明の準備を待ちながら、ホウ・シャオシェン監督と外で煙草を吸いながら雑談していました。ふいに監督が言ったのです。「自分で監督してみたらどう?」。私は戸惑いながら「できると思います?」と尋ねました。すると監督は「もちろんだよ。自分で書いてごらん。自分がいちばんよく知っていて、本当に語りたいことから始めるといい」。

その日から、私の長い脚本作りの旅が始まりました。断続的に書いては直し、壊してはまた作り直す——そんな作業を10年近く繰り返しました。結末を考えるだけで1年を費やし、結局また最初からやり直したことも。終わりの見えない試行錯誤の連続で、常に悩みがつきまとっていました。

そして2023年。ヴェネツィア国際映画祭の審査員に招かれ、次々に素晴らしい映画を目にするうちに、「あれこれ考えるのはもうやめて、早く脚本を完成させよう」という強い衝動に駆られました。映画祭後も私はイタリアに残り、ミラノのホテルに2週間以上籠って、10年越しの脚本をようやく書き上げました。

映画業界の多数の頼れる仲間たちの助けを得て、2024年晩夏に撮影は無事終了、そして2025年6月、数々の試練を乗り越えて、ついに映画に命を吹き込むことができました。新人監督ゆえ至らぬ点もあるかもしれません。でも、この物語はどうしても誰かに伝えたかった。自分を育んだ家族という存在が、良くも悪くもどれほど大きな影響を与えるのか―そんなことを皆さんと考え、分かち合いたい一心で、この映画を作りました。

映画に登場する母親も、シャオリーやリリーも、あるいは一瞬で通り過ぎるクラスメイトたちも、幼い頃に心に傷を追った現代女性が経験した恐ろしい現実や影を映しています。その傷ゆえに、家族はもちろん自分自身とさえ和解できず、家庭を築くことを恐れ、あるいはその痛みを無意識のうちに娘に受け継がせてしまうこともあるのです。

この11年間、私の心の中で生き続けてきた『女の子』を、どうか気に入っていただけますように。

上映スケジュール

11月23日(日)15:20 -

有楽町朝日ホール

ゲスト

スー・チー(監督)

チケット購入

11月27日(木)18:35 -

ヒューマントラストシネマ有楽町

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