『プラットホーム』
ティーチイン

 主人公たちの青春を社会の推移とともに丹念に描いた作品。バックに流れる音楽に時代を感じ、その選曲にはクスリとさせられた。
 終映後、大きな花束がジャ・ジャンクー監督に手渡された。少々照れ気味の監督から長い作品を見てくれた事、この映画を応援してくれた日本のスタッフへの感謝の言葉が述べられた。前作同様フェンヤンという場所をロケ地としたのは、自分の故郷である土地への思い入れや、地方で生活する人の姿を知ってほしいからだ、と。 登場人物の一人が髪を切るシーンが心に残ったと話す女性に対しては「長髪は反逆精神の表われであり、かつては自分もそうだった。その髪を切るのは過去を断ち切る事を意味すると思う」と語った。質問をする観客の多くが前作との関連や対比を持出していて、監督はしっかり固定ファンを獲得している様子。
 そして最後に監督は「70〜80年代の社会的変化を背景に据えてはいるが、自分にとって一番興味のある事柄は人間の成長し、変化していく姿だ」と話していた。作品のように丁寧に誠実に応ずる監督がとても印象的だった。


監督プロフィール:賈樟柯(ジャ・ジャンクー)
1970年中国山西省フェンヤン生まれ。1993年に北京電影学院に入学。1995年、インディペンデント映画製作グループを設立し55分のビデオ作品『小山回帰』を監督、香港インディペンデント映画賞の金賞を受賞。1997年に卒業製作として16mm長編劇映画『一瞬の夢』を監督。1998年のベルリン映画祭でワールド・プレミアとなり、ヴォルフガング・シュタウテ賞(最優秀新人監督賞)を受賞。その他3つの映画祭でグランプリを獲得した。


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