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『井戸/蜂の飛行』 ティーチイン |
大地を掘る行為とせせらぐ水の表情が、ユーモラスなほど実直で一徹な村人たちの生活と深く関わり合う寓話的な2部作。双方を手がけたウスモノフ監督が体調を崩して参加できなかったことは残念だが、2作目に当たる『蜂の飛行』の共同監督ミン・ビョンフン監督がティーチ・インに出席、実のある質問に誠意を込めて答えてくれた。「ウスモノフ監督とはモスクワで映画の勉強をしているときからの友人です彼が撮った(1作目の)『井戸』に霊感を受け、一緒にやりたいと思いました」。ウスモノフ監督はタジキスタン人でビョンフン監督は韓国人だが、「国籍の違いより、国家と国家を媒体する人と人の通じ合いの方に興味がある」という。「平凡な人が自分の志をいかに表すか、をめぐって優しく温かい映画を目指しました」。そんな映画の味わいを、気持ちがほぐれてゆくような柔らかさで支えているサタジット・レイの音楽にも質問が飛ぶ。「撮り上げた後、いろいろな音楽を試したのですが、レイの音楽が一番よかった。彼の未亡人も快く受け入れてくれました」。レイの『大地のうた』とのつながりを指摘するお客さんも。「スタッフ、出演した村人たち、全員が共同監督」という『蜂の飛行』はこの亡きインドの名匠に捧げられている。 |