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『サークル』 ティーチイン |
愛くるしい少女の冒険を綴った小品『白い風船』が日本でも好評を博したジャファル・パナヒ監督。最新作『サークル』ではこれまでのテーマや作風を一新し、イラン社会における女性の過酷な立場を生々しいリアリティをこめて描き上げている。 「私が過去の作品で描いた少女たちが、成長して社会に出たらどのような運命をたどるのだろうか。そんな疑問が本作を撮るきっかけになった」。 「この世の人々の周りには、さまざまな“円”があると思う。社会の円、政治の円、宗教の円……。どうすればそれらの円の縁を広げることができるか、誰もがそのために頑張って生きているのではないだろうか」 刑務所を仮釈放された若い女性たち、我が子を道端に捨てようとしている母親、そして街角の娼婦らが、次々と悲劇的な現実に直面していく。観客からの「なぜ、まったく希望のない結末にしたのか」との率直な質問に対しては、「自分の良心に従って撮ろうと決意したからだ。社会の現実を偽りなく描けば、どうしても暗いトーンになってしまう」と、きっぱり返答。「まだイラン国内での上映許可が下りていない。イランの社会問題を扱った作品だけに、残念でならない」というコメントには苦渋が滲んだ。 |