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『ただいま』 ティーチイン |
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背が高く、がっしりした監督チャン・ユアンとスリムで美貌の主演女優リー・ビンビンが共に黒をシックに着こなした姿で舞台に現れると、拍手とカメラのフラッシュが惜しげなく浴びせられた。監督の質問に対する答えもスマートで、27歳で第一作を発表して以来、中国社会に鋭い矛先を突きつけ続けてきた彼もなるほど今は37歳。10年の歳月が与えた風格と沈静さには好もしさを覚えずにはいられない。 悪名高い中国の検閲制度の最たる犠牲者の一人である彼だが海外の観客には恵まれ、日本にもファンは多く、次回作、起用したい女優などの質問があった。それらにきちんと答えた後に、むしろ『ただいま』について話しませんかと提案。といって丁寧で的確な演出作品に疑問などなく、若い女性からの、正月に家族一緒に過ごすことがそんなに重要なことなのですかとか、妻が夫に、牛や馬に生き変わってあなたに尽くしたいというセリフには驚きましたがという質問。中国のそれが現実だということを監督は再度口頭で示した。 リー・ビンビンは最初殺人犯の役を依頼されたのが、テレビ番組のためにスケジュールの調整がつかず断念、撮影に入っていた監督から今度は看守の役で懇請され、役作りの時間がなかったことを打ち明けたが、ユアン監督は、選択は間違っていなかったと賛辞を捧げた。 |