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『ブラックボード -背負う人-』(オープニング作品) ティーチイン |
今年のカンヌ映画祭にて史上最年少の審査員賞に輝いた監督第2作で、本映画祭のオープニングを飾ったサミラ・マフマルバフ。周知の通り、父親はイラン最高の人気 監督モフセン・マフマルバフであり、黒板を背負って生徒を探し求める教師を登場させた本作のアイデアは彼から得たものだという。観客からの質問では、モフセンの『ギャベ』にも“さすらいの教師”のイメージが挿入されていたことも指摘された。「教える場所を失った教師が、もしその仕事を続けようとするならば、黒板を抱えて歩き回るしかない。とても面 白いアイデアだと思いました。この物語には、哲学、社 会性などに関する幅広い表現を盛り込むことが可能だったから」。イランとイラクの紛争が背景になっている点については、「この映画で描かれている地域にだけこだわったつもりはない。戦争はどこでも起こりうることだから」。そうした普遍性を映画に吹き込むために、「教師、闇物資を運ぶ子供、故郷に戻ろうとする老人という三世代を描くことで、あらゆる人間の痛みを世界の人々に伝えることができると思った」という。ハキハキと応答する監督に対し、来場していた在日イラン大使から祝福の言葉も飛び出す一幕もあった。 |